引退ブログを書くのは実は二度目。すでに10月中に引退ブログを書いていたのだが、入替戦前に引退ブログをアップするのはどうなんだ、とOBからご指摘があったらしく、掲載が引退後に先延ばしされた。実は僕も引退前に引退ブログを書くのは難しいなーと思っていたため、これに同意見である。しかし、依頼されたら書くのが引退する4年生としての務め。引退前に唯一これなら書けると思い、書いたブログのタイトルが「Crazy Crazy Spice」。いけない、いけない、こんなふざけたブログ、引退後のあいさつとして掲載するにはふざけすぎていて、色々な方に失礼してしまう、ちゃんと誠実に感謝を伝えたい、そう思い、二度目の引退ブログを書くことにした。
幻の引退ブログ、「Crazy Crazy Spice」は部報にとっておこう。STAR WARSのepisodeⅠ~Ⅲみたいな感じ?うーん、ちょっと違うような。
引退して1週間が経ちました。この1週間、色々なことを考え、咀嚼していました。まだ咀嚼も消化も終わっていないため、まだ若干ぽーっとしている状態です。こんなにも1週間って長いのか、と毎日思います。ぽーっとしている状態なので、もしかしたら、今後考えが変わるかもしれませんが、率直に今の思いを綴ることで、感謝を形にできればと思います。今まで支えてくださったOBOG、誠先生、飯田先生、先輩、同期、後輩、家族、ありがとうございました。
井の中の蛙は、空を見上げ、「大海に出たい」と思っていることだろう。
Ⅳ:北大サッカー部
高校サッカーを引退したときに、実はサッカーってもっとおもしろいんじゃないかっていう勘があった。北大に入学したときには、サッカー部に入るなんてほとんど考えていなかったが、この勘と、サッカー部の練習参加をした日が、「新歓ゲーム大会」といういかにも参加したくなる名前のイヴェント日で、実は新入生の入部日でもあった、という理由で北大サッカー部に入部することとなった。新歓ゲーム大会とは別に、札幌に引っ越してすぐの4月上旬に一度練習見学をした際の、激しい練習の中でもサッカーを楽しんでいる先輩方の姿と、その後のカオス体験も、入部理由の一つだったのでは、と思う。このカオス体験については「Crazy Crazy Spice」に書いておいた。
そんな、あまり強くない動機で入った北大サッカー部だったが、その日々はとても満足するものだった。まず、1年時は学業とハードな練習の両立に苦しむ。そして、2年時以降は先輩としての振る舞いに悩む。これらの苦しみ、悩みの一方で、一生懸命練習しても試合に出られたり出られなかったりする。自分の中で喜怒哀楽の感情がぐちゃぐちゃになる。でも、そんな中で、何事にも代えがたい喜びがある。それは、プレーが上手くいき、ちょっと上手くなったかも、と感じる瞬間である。この喜びは、あまり大きくはないが、確かだ。
これらは、北大サッカー部OBならほとんどの人が経験したことがあるのではないだろうか。こんなありきたりな経験だが、自分の中では、確かで、かけがえのないものだと感じる。北大サッカー部に入って本当に良かった。
Ⅴ:軸足
僕は旅が好きだ。観光やまちづくりにも興味がある。そんな僕にとって、北大への進学は一種の「旅」だった。鳥取から遠く離れたところに進学すれば、帰省の道中、色々なところを旅できるな、と思って北海道に来た。実際、道内はもちろんのこと、東北、関東、関西も旅をして自分の地図が広がった気がする。
そんな旅好きの自分であるが、臆病な一面もある。旅行先ではなぜかチェーン店に行きたくなったりする。旅行先の完全な風土を味わうことができない。結局、どこに行こうと自分を大きく変えてしまうことが怖い。
自分が北海道に来た際に選んだものは、アルバイト先の「ミスタードーナツ」と「北大サッカー部」である。鳥取にはない「松屋」ではなく、「ミスド」を選んだ(アルバイト先のミスドの隣に松屋がある)。そして、高校まで続けた「サッカー」を選んだ。コミュニティとしての選択、サッカーをしない自分自身に対する不安定さも理由としてあっただろう。はるばる北海道まで来たのに、選んだのは鳥取と変わらない景色。なんて臆病なんだとつくづく思う。
北大サッカー部で過ごした3年半は、自分にとって「軸足」だった、と思う。北海道旅において、「北大サッカー部」を自分の中の軸足として考え、キックする足は他に回そうという魂胆が、自覚はないが、あったのかもしれない。
Ⅵ: 残りの北海道旅
「軸足」が欲しい、というネガティブな思いが北大サッカー部への入部を後押ししたかもしれない、と今は思っている。
それでも、そんな3年半はそんなこと関係なく、確かであることは間違いない。
もう少し北海道にいるつもりだ。自分の中にしっかりと「軸足」を踏み込めた今なら、残りの北海道旅を臆することなく冒険して行ける。釧路湿原であれ、ぶれることはない。
#3 伊藤悠策
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